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大いなる眠りのHKのレビュー・感想・評価

大いなる眠り(1978年製作の映画)
3.5
『さらば愛しき女よ』が好評だったため、ロバート・ミッチャムが私立探偵フィリップ・マーロウを続投した2作目。
ハードボイルドの古典『三つ数えろ』(原題:The Big Sleep、ハワード・ホークス監督、ハンフリー・ボガート主演)のリメイクでもあります。
しかしながら、『三つ数えろ』にも『さらば愛しき女よ』にも遠く及ばずとかなり酷評されている作品です。
日本ではたしか劇場未公開だったような。

時代を現代(『ロング・グッドバイ』と同じく1970年代)に、舞台をイギリス(なぜ?)に置き換えてしまったため、『さらば愛しき女よ』の絶妙な時代色とムードも無ければ『ロング・グッドバイ』のドライでアメリカンな雰囲気も無く、英国ミステリー風チャンドラーといった感じです。

ところが、正直言って私は本作の方が『三つ数えろ』よりは楽しめました。
ストーリーも本作の方が整理されてわかりやすくなっています。
マーロウもやはり私はボガートよりはミッチャム派です。一人称の語りも『さらば~』と同じくいい感じでした(老けてますがボガートよりそれほど上に見えるわけでもありません)。

『三つ~』ではボガートの背が低いためマーロウに向けられた冒頭の「背が高いのね」というセリフが「背が低いのね」に変えられたという逸話がありますが、ミッチャムは長身のため本作では原作どおりのセリフ。時代と場所を除けば、本作の方が原作に忠実と言えるかもしれません。

今作の監督・脚本は、チャールズ・ブロンソンとの作品多数のマイケル・ウィナー(イギリス人だとは知りませんでしたが)。
音楽はペキンパーやイーストウッドの作品でもお馴染みのジェリー・フィールディング。

豪華な出演陣も楽しめました。
依頼人のスターンウッド将軍にジェームズ・スチュワート、その2人の娘にサラ・マイルズ、キャンディ・クラーク。
他にもエドワード・フォックス、オリバー・リード、ジョン・ミルズ、コリン・ブレイクリー、リチャード・ブーン、ジェームズ・ドナルドなど。
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