ゴン吉

シェラマドレの決斗のゴン吉のレビュー・感想・評価

シェラマドレの決斗(1966年製作の映画)
4.0
メキシコに近い辺境の町で馬を盗まれた白人の馬奪還を描いた西部劇。

マーロン・ブランドが主演、アンジャネット・カマーがヒロインを演じ、ジョン・サクソン、エミリオ・フェルナンデスらが共演。

1870年のメキシコに面したアメリカの国境の町・オホプリエト。
戦争で何人もの人々を殺したマテオ(マーロン・ブランド)がアパルーサ馬に乗って久しぶりに故郷に帰って来る。孤児だった白人の彼を育ててくれたメキシコ人の貧しい農民家族と団らんしていると、地元を牛耳るチューイ(ジョン・サクソン)の一味にアパルーサ馬を盗まれてしまう。その馬はマテオが牧場を開くために連れてきた唯一の財産である種馬だった。マテオは馬を取り戻すためにチューイの後を追う…

馬を奪ったメキシコ人一味に挑む白人のマテオ。
しかし彼らメキシコ人たちも、もとは白人に馬や金塊、女など何もかも奪われた過去をもち、力をつけて白人から富を取り返したのだった。
ドゥランゴ産のサソリが、メキシコで懸命に生きてきた一味のリーダーの人生を象徴している。
一方、寒々とした荒野に映える真っ赤なドレスを着たヒロインの娘。キレイなドレスを着て食事も与えられて一見何不自由なく愛された生活をおくっているように見える娘も貧しさゆえに父親に売り飛ばされ、実は現在もひどい扱いを受けていた。
メキシコ国境付近の混沌としたカオス地帯で懸命に生きる貧しい人々の重厚なヒューマンドラマを描いた作品で、派手な撃ち合いシーンもない異色の西部劇です。
果たして人々に幸せが訪れるのか。
残雪の残る山を越えて戻ってきた男を出迎えた子供たちの陽気な声と赤ん坊の泣き声が心に響く作品です。

主役ではなく脇役の悪役を演じたジョン・サクソンが、ゴールデングローブ賞(1967年)で最優秀助演男優賞にノミネートされたのも頷けます。 

2023.5 NHK BSP で鑑賞(吹替:岡田壯平)
ゴン吉

ゴン吉