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眠狂四郎 円月斬りのkojikojiのレビュー・感想・評価

眠狂四郎 円月斬り(1964年製作の映画)
3.8
#1241
1964年 監督は安田公義 第3作
(惹句)『愛を知らず、情けを知らず、冴えて冷酷、円月殺法』

(お詫び)指の小指様
 今日時間があって、明日のBS放送が待ちきれなくなり、自分所有のDVDを観てしまいました。フライングをお許しください。

将軍家斉の庶子片桐高之は母松女の野望に駆り立てられ次期将軍の座を狙っていた。
名刀集めに趣味を持つ高之は狂四郎の持つ無双正宗に執着する。

この高之の許嫁小波が将軍の妻の座を狙っていることに対し狂四郎がその野望を打ち砕くため、ある夜屋敷に忍び込み小波を犯す。このシーンであの惹句が出てくる

『女の肌を燃え上がらせる 斬って悔やまず 抱いて愛さぬ、非情の瞳』

小波は狂四郎を憎み刺客を送るが、いつしか狂四郎に思いを寄せる。

狂四郎への最初の刺客は寄居勘兵衛
この寄居勘兵衛との会話で、狂四郎自ら円月殺法の解説をする。名セリフ。
 狂四郎「お手前の剣が無双のものと見た。   
     かつて敗れたことはあるまい
     流儀は?」
    「馬庭念流 寄居勘兵衛」
 狂四郎「円月殺法 眠狂四郎」
    「円月殺法?」
 狂四郎「剣を地ずり下段に構える
     そして円を描く
     完全に円を描き切るまでに相手を     
     倒す
     剣がまわりきるまで持ちこたえた
     ものはない」
ただし、勘兵衛に見せる「円月殺法」は、シリーズの中でもベスト3に入る美しさだ。

 次の刺客が「むささびの伴蔵」投げ花札が武器だ。この男の妻が現在の狂四郎の女「おきた」。
この「おきた」との情事の際の狂四郎セリフがまたいい。

「おきた」が障子を開けながら言う。
    「いい風…」
 狂四郎「無常の風さ
     あの墓の下から世をはかなむ女や  
     男達の声が夜ごと聞こえる」

 こんなセリフ、誰が言えます?
 「無常の風さ…」ですぞ😆

見せ場は最後の高之と多数の家来が待つ河原での死闘。
橋の上で囲まれた狂四郎に下からの火🔥、両側から弓矢🏹。絶帝絶命のピンチ。

最後は高之に円月殺法で立ち向かうが、高之レベルには、円月殺法は必要ないのではないかと、小さい頃思ったが、やはり今回も同じように思った。

結局この第3作はシリーズとしての安定感は出てきたものの、強敵がいないため面白味に欠ける。

寄居勘兵衛は昔の手だれで、浪人生活が長く、すでにくたびれている感じで、強敵には見えない。むささびの伴蔵はある意味飛び道具で怖い相手であるが、円月殺法を使えないので面白くない。高之は弱すぎる。ということであと一つ盛り上がりに欠ける。

小波役の「東京子」は重要な役所。彼女は当時売り出し中で、この当時の大映映画では直々見掛けていた記憶があるが、表情が硬すぎて演技も上手くない。残念な女優さんだ。

2023.06.13視聴276
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