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クラウド アトラスのたかのレビュー・感想・評価

クラウド アトラス(2012年製作の映画)
5.0
 壮大なストーリーです。様々な時代で6つの人生が躍動している上に、それら全ては同じ魂が営んでいる訳です。その時の立場は異なっても、主義主張や行動パターン、そして記憶は個のものなので、当然引き継がれますね。これはまさに仏教が伝えてきたことです。街を歩いていて、見知らぬ誰かとすれ違う時、フッと気になる感覚に陥ったら、それは過去や未来において、何らかの関係性を持っていた可能性大ですね。

 6つのストーリーもそれぞれ丁寧に描かれています。同じ俳優が時代によって違った役を演じていますが、この見極めはなかなか難しい。私のような人の顔を覚えられない人にとっては苦手分野、逆に街ですれ違っただけでも顔を覚えられる人にとっては、誰と誰は同じ俳優が演じていると大方言い当てることができると思います。

 この作品のメッセージもなかなか文字にし難いです。こういうものだと言うか、人間は不完全だから、時代に関係なく幸福にも不幸にもなり得る。それは文明が開化してなくても、文明が成熟していても、文明が崩壊しても一緒だと、この作品は語っています。それを断ち切るには、仏教の目的である「悟り」の境地に到達しなくちゃならないですね。

 悟りは極論として、輪廻によって無限に存在する自分の人生、今はどん底であっても、無限の人生のほんの一つに過ぎないと言う、大きな捉え方もできます。そして現世が来世に繋がると思うと、今の人生を大事に生きようと思えるかもしれません。それはあくまで私の解釈ですが、観る人によって無限の解釈が生まれそうな大作です。

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