義民伝兵衛と蝉時雨

伴奏者の義民伝兵衛と蝉時雨のレビュー・感想・評価

伴奏者(1992年製作の映画)
4.0
「なまいきシャルロット」のシャルロット・ゲンズプール、本作のロマーヌ・ボーランジェ、若い女性達の人生の春に芽吹く瑞々しい心の美しさを自然体に鮮やかにフィルムに収めるミレール監督の手腕は流石。「なまいきシャルロット」が少女の早春の情景だとすれば、本作は大人の世界へと踏み出す直前の桜散る晩春の情景。第二次世界大戦下のパリから、ポルトガル、イギリスを巡り、愛、憎、希望、諦念、孤独、死、などを経験して、不条理の先に大人の世界が見えてくる。
シャルロット・ゲンズプールに引けを取らぬような瑞々しさに満ちたロマーヌ・ボーランジェは勿論のこと、戦争と愛憎に翻弄され続ける夫婦を演じたリシャール・ボーランジェとエレナ・サフォノヴァの演技も見応えが凄い。西洋の伝統的な美を堪能することもできた。