爆裂BOX

モスキートマンの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

モスキートマン(2012年製作の映画)
3.6
人体実験によって蚊の能力と驚異的な身体能力を手に入れたジム。異形と化した自分に戸惑いながらも、悪の血を吸いつくし、たった一つの愛を守るために闇夜を駆け抜ける…というストーリー。
人体実験によって蚊男と化した主人公の活躍を描いたダークヒーロー映画です。
主人公ジムは長年勤めた仕事を首になり、更に出世争いで負けた同僚と妻が浮気している事を知り、自殺を考えるも偶々知り合った科学者のデイヴに慰められる。しかしデイヴはジムを蚊が媒介するウィルスのワクチン実験に実験台として使い、ジムは蚊の能力と身体能力、醜い容貌になってしまう。モスキートマンと化したジムは恨みを持つ人物や悪党を次々殺していくという内容です。
見る前はZ級ホラーコメディかと思ってましたが、思ったよりちゃんとダークヒーロー映画してるのはちょっと意外でしたね。強盗に襲われたヒロインを強盗の血を吸って殺す冒頭から、うだつのあがらない主人公の悲惨な日常と、実験台にされてモスキートマンになるまでがテンポよく描かれます。色彩抑え目の映像もアメコミ感ありました。
主人公はモスキートマンと化してからはゾンビか毒々モンスターみたいな風貌になって身体能力もアップしますが、ヒロインの危機にビルの屋上次々飛び移って駆け付けるシーンくらいで他はあんまり凄い身体能力見せるシーンなかった気がしますね。攻撃方法も吸血管口から出して相手の頭や耳に突き刺して血を吸いとるだけなので地味ではありますし、グロさもないですね。大量の蚊を呼び寄せてそれに紛れて姿を消したり、蚊を操って悪党にけしかけたりする所は面白かった。基本、自分首にした上司や出世と自分の妻寝取った同僚、浮気妻に罵声浴びせてきた警備員等私怨で殺していくのでヒーローっぽさ感じるのは最初のヒロイン襲おうとした強盗片付けた所くらいか。獲物を求める蚊の本能に抗おうとする所はちょっと「ザ・フライ」感あったかな。食事済ませて交尾する衝動に任せてヒロイン襲っちゃうけど。ヒロイン全然受け入れてるのは笑ったけど。
主人公の同僚でずっと主人公の事思い続けていたヒロインや、口調は偉そうだけど結構有能な警部にその部下、元凶のマッドサイエンティストと登場人物も個性的だったと思います。元凶の博士は昆虫学者として呼ばれて、自分の実験によって変化した主人公の仕業だと悟って警部たちと行動しながらいつバレるかとどぎまぎしてる所も妙に可笑しくて良かった。ずっと実験やめるように言って後悔してるけど脅されて止められない同僚研究者はある意味一番人間味あったかも。人の名前覚えない主人公の上司役でトロマ総帥ロイド・カウフマンが出演してます。
攫われたヒロインを助けようとしたモスキートマンが青い光に引き寄せられる蚊の習性利用されて警部たちと共に危機に陥る終盤の展開はアツくて良かったですね。デイヴの小物感あるヴィランぶりも結構好きでした。どうせならデイヴも変身してバトル繰り広げてほしかったな。
最後主人公は蚊の大群になったんだろうか。生まれてくる子供は果たして…
派手なアクションやグロシーンはないですが、ダークヒーロー物としては普通に楽しめました。