ちろる

サイの季節のちろるのレビュー・感想・評価

サイの季節(2012年製作の映画)
3.7
イスラムの政治的な背景により引き裂かれた詩人夫婦のある種の愛の物語なのだがなによりもこの作品の魅力は薄暗く深みのあるコントラストが印象的な映像の美しさ。

登場人物たちの会話シーンはごく最小限に抑えられており、重くのしかかるようなゆっくりとしたテンポではあるので一見難解そうだなと思ったのけど、人間関係さえ理解できれば比較的シンプルなストーリーだった。
こんなこと言うのは失礼なんだけど、イスラム系の男性陣の区別がつきづらくて主人公のサヘルと運転手がなんとなく雰囲気似てると思ってしまったため物語の中盤まではあれ?とパニックになってしまった。
まぁよく見れば全く違うので、その2人を混同しなければ物語はすんなり入ってくるはずです。
観るまではモニカ ベルッチが出演していることも知らなかったけど、不幸を背負い絶望に浸る数奇な運命を辿ることになってしまった女の姿はそれでも女神のように美しくて、ムスリム系の女性の役ではあるがヌードシーンもあり、相変わらずの美胸を披露していたので、彼女の存在が淡々として地味なこの作品に十分なインパクトを与えてくれてました。

台詞が少ない代わりに朗読される詩は極限を味わった人間の心を抉るような哀しみと諦めに似た言葉なので、美しい映像と同じくらいの作品の魅力となっています。

是非、疲れている時と集中力がなさそうな時は避けて時間がある時にじっくりと入り込んでいってほしい作品です。
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