潮騒ちゃん

アイム・ヒアの潮騒ちゃんのレビュー・感想・評価

アイム・ヒア(2010年製作の映画)
4.4
好きな人の一部になる。全部になる。一部と全部。…イチブトゼンブだ!と、何故かB'zが出てきてしまい観賞後に歌詞を検索して読み返すという謎の流れになってしまった。良い歌詞だった。ロボットと人間が共存する世界。案の定、そこにあるのは上っ面の平等。人間は簡単に壊れたり傷ついたりしてしまうから、取り外しや組み立て可能なロボットが生まれたのだろうか。彼らがあまり頑丈に作られていないことから察するに、ある程度の年月でガタがくる使い捨てなんだろう。心が組み込まれたのは残酷な気まぐれか。四角い頭のシェルドンとアンドロイド型のフランチェスカ。固くて脆いプラスチックの恋。冴えないくんとおてんばちゃんの組み合わせは何度見ても飽きない恋愛モノの王道だ。ロボットに置き換えられてもその甘さは変わらない。質感はコツコツ。ハートはふわり。この柔らかさにどうにかして頬擦り出来ないだろうか。二つとない手触りが愛おしかった。文字通り「身を捧げる」をしたとして、わたしたちは一緒にはいられない。ひとつになった後に残るのは動かないわたしの残骸だけだ。外せるパーツや単体で動く頭があったらなあ。そんなことを思いながら泣く。長いも短いもない。胸の狭いところに入り込んでくる映画はやっぱり貴重だと思った。結局今もわたしの頭では稲葉浩志がシャウトしている。映画の色にはそぐわないアツさだけれど愛しぬけるポイントがひとつありゃいいのは人間もロボットも同じことだ。
潮騒ちゃん

潮騒ちゃん