マテ

ブリーダーのマテのレビュー・感想・評価

ブリーダー(1999年製作の映画)
3.7
どこか乾いているような、空虚な雰囲気に悲しみを覚える。普通に幸せになりたいと思いながらも、そうなることを恐れているから、いざ目の前に灯りが見えると逃げようとする。分不相応に思える幸せに翻弄されるより、不幸でいる方が楽に思えるよね。でも結果、周りも自分も傷つけて「こんなはずじゃなかった」とか言い出すんだよ。本当に馬鹿だよね。…みたいな共感をレオに抱いてしまった。自業自得の泥沼不幸しんどい。
ただ、レオも「映画みたいに」拳銃使えるじゃん、とは思った。それが彼にとって何かしらの救いかもしれないとも。

そして、なんと言っても若マッツ。たどたどしく好きな子(?)に接したり、拳銃の音にビクッとしたり、袖口についたソースを気にしてしっかり拭いちゃったり。そんなマッツも、とても素敵な作品だった。特に拳銃のくだりの怯えた目が素晴らしい。彼は画面に存在するだけで視線を惹きつける「至宝」とはいえ、その魅力の土台となるのは確かな表現力であることを再確認させてくれた。これが二十数年前のマッツか…。
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