ソシ

海がきこえるのソシのレビュー・感想・評価

海がきこえる(1993年製作の映画)
3.9
ジブリ作品は台詞を覚えるほど好きだが、
何故か本作と『おもひでぽろぽろ』だけは
気が進まずに鑑賞したことが無かった。

「今観て良かった」「早く観たかった」
二つの感情が入り混じる素晴らしい作品。

前者から:
高校も大学も卒業したからこそ言える
その時素直になれなかったこと。
学生が孕む微妙な心情の移り変わり。
自分が地方で育ったことによる自己投影。
そんな描写を「過ぎ去った人間」の視点から
「共感」しながら鑑賞出来た。

一方後者:
もし大学在学時にこの映画を観ていたら
もっと自分の心に素直に過ごせただろう。
今ほど「エモい」みたいなものが
主流で無かったにせよ、
一瞬一瞬をもっと頭の中で映像に残し、
尚且つ一句一句の言葉に至るまで
丁寧に生きることを心掛けただろう。

映画自体の良し悪しは、
その作品に内包されるコンテンツのみならず
外的環境・内的心情に多大に影響を受け
作品独自・鑑賞者解釈の側面で形成される。

そういう点に於いては
本作は今の自分にドストライクだったと。
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