爆裂BOX

ミミック3の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

ミミック3(2003年製作の映画)
3.2
ストリックラー病患者のマーヴィンは外出もできず、窓から近所の人々を盗撮するのが日課だったが、ある夜殺人事件を目撃する。犯人らしき男の調査を始めた彼を思いもよらない恐怖が襲う…というストーリー。
「ミミック」シリーズの第三弾。今回はOVになって予算もぐっと減って舞台も主人公の住む団地の中だけと非常にスケールも小さくなってます。監督は「ディセントZー地底からの侵略者ー」のJ・T・ペティ。
謎の男による殺人事件を目撃するも、カメラにフィルムを入れ忘れて死体も消えており、通報できた刑事にも信じてもらえなかったマーヴィンは妹のロージーと共に自分達で調査するも犯人はユダの血統だったという内容になっています。SFモンスターパニックだった前二作と打って変わって今作はヒッチコックの「裏窓」のようなサイコホラーになっています。
前二作では世界観の説明にとどまっていたストリックラー病ですが、今作の主人公マーヴィンは幼い頃にストリックラー病に罹って、自分の部屋から出られず(短時間なら酸素ボンベと吸入器もって外出可能)煙草や香水の匂いで喘息の発作が起きる虚弱体質です。部屋の窓から近所の人を盗撮してますが、外界との唯一の接触手段でいかがわしい目的ではないようです。充分変態っぽいけど(笑)ただ、この主人公カメラで撮ったり覗いたりするだけで最後の方まで本当に何もしない。調査するのも妹とカーメンの方で、マーヴィンは「危ないから警察に任せよう」というだけですし(最もな言い分だけど)終盤であれだけ心配してた妹が襲われる所カメラで見てもオロオロオタオタするだけですし。最後は頭使ってユダを倒しますが。
ティーンエイジャーだけどヤク中で、でも兄とは仲良しな妹ロージーが笑顔がキュートでいいですね。マーヴィンが恋してる女性カーメンも、ロージーと仲良くなって部屋に来て写真見てちょっと引くけど、マーヴィン好きになって煙草も香水もやめる所はご都合主義な感じでしたね。母親がマーヴィンには過保護でロージーにはそっけないけど、刑事のデュマーとデキるとマーヴィンにも冷たくなるのは毒親すぎ。デュマ―も通報受けて来てはなっから信じてないうえ速攻で母親とデキて父親面しだすのはウザすぎでした。息子にも聞こえるくらいの声でエッチしだすのも嫌すぎる。
ユダの血統は「Ⅱ」で見せた擬態能力はどこへやら、一作目の様なゴキブリ人間になってますが、冒頭で子供襲ったり、老若男女区別なく襲いまくります。でもわざわざ部屋まで侵入して住民達殺していった理由は何だろう。ゴア度は高くないですが、血塗れになった部屋をロングショットで映したり凄惨な雰囲気出そうとする演出は良かったかな。円形で窓越しに部屋の住人に襲いかかる所も。デュマ―と通行人の女性が襲われるシーンや、ゴミ男をつけるロージーとカーメンの後ろから迫ってくるシーンは結構ハラハラしました。
マーヴィン達に容疑者と疑われるゴミ男役でランス・ヘンリクセンが出演してます。ユダの卵を金づるにしようとしたりマーヴィン達に銃突きつけて脅したりと結構な悪役ですが、どうやって卵手に入れたのかとか取引してた男達は何者かとか語られずじまいでしたね。
前半はユダの襲撃シーンは少なめですが、後半からはそれなりに暴れてくれます。マーヴィンの部屋に襲撃してくるシーンはまずまずの迫力。
ラストはカーメンも生き残ってハピーエンドで良いのか。生存者は二人みたいな事言ってたけど、もしそうならあれは完全に擬態したユダの血統なのか、曖昧な後味を残すラストですね。
前二作よりもぐっとスケール小さくなって地味になりましたが、一風変わったモンスター物としては楽しめるかな。