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永遠の0の太のレビュー・感想・評価

永遠の0(2013年製作の映画)
4.0
風立ちぬを見た流れで、零戦とは、戦争とは、当時日本に何が起きてたのか、そんなことが気になって見た。まずは日本人として風化させてはいけない歴史があることを心に刻むべきだと思った。別に偽善とかではないけど、自分も含めて最近の世代は浅く広く情報を手に取り、良くも悪くも海外志向が増えたおかげで自国について何も知らない。もうすぐ戦後79年を迎えようとしている。インドネシアにいて日本が残した負の遺産や記憶は教育で教えてもらってきた以上のものがあるし、そこに歴史があることを忘れてはいけないとも思う。戦争中に産まれた、当時の記憶はほとんどないであろうけども、じいちゃんと話してみたくなった。

以下、風立ちぬとの差も含めて少し批評的に。
まず、一番の違いは主観的目線と客観的目線だったと思う。永遠の0は最後の突撃含めて主人公のキャラクターに感情移入し、魅了してしまうように描かれている。一方風立ちぬでは、零戦を作った主人公を批判的に客観的に見るように描くことで当時の風景を鮮明に描いていた。ここの対となる部分は両作をセットで見て真価な気がする。あとは、宮崎駿と百田尚樹の戦争観にも差があるように思えた。宮崎駿は完全なる戦争反対という描き方を色々な作品通じて届けてくれていると思うし、一方で零戦は細部まで描かれマニアっぽいところも存分に楽しめる。百田尚樹は戦争反対というより、登場人物の台詞回し的にも戦争で負けたことが悪であるというようにも読み取れる気がした。難しいことはわからないけど、諸説ありの作品を描くときに作者の届けたいものが存分に伝わる気がする。面白い。
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