あさ

情愛と友情のあさのレビュー・感想・評価

情愛と友情(2008年製作の映画)
4.6
まず初めに私だったらこのタイトルは付けない、ポスターもキャッチコピーも変えます。高慢と偏見風にしたかったのか。本の邦題リスペクトでよかったやん…!
ベンウィショーさんに溺れて行き着きましたが、ものすごく文学の世界。最初はここ最近見た作品の中で最高の胸のドキドキを感じていたのに、見終わった時に感じる難しさが久しぶりの感覚。

イギリス、そしてカトリックを非常に感じられる作品。オックスフォードのブリングトンクラブとか一瞬しかなかったけれどこの時代のは本当に高貴…、街並みも素晴らしい。

特典で映像で「欧州ではバロック建築を見てカトリックを連想するのが自然な感覚」と言っていたように、私のように彼らと違ってこの宗教、その文化に深い知識がない人間はこの感覚のギャップがあってこの作品の理解やや難しくなる気がする。そこがまた面白いけど。


<以下ネタバレあります>
三人の成長が衣装や過去の映像の幻想的な演出で描かれているのがすごい。ヴェニスの運河の反射とか本当に浮世離れ

ベネチアのシーンは印象的だけれど、やけに海のシーンでベニスに死すを思い出すなと思ったら実際に影響を受けているらしくて面白かった。海辺で水着に身を包むタージオのようにセバスチャンの魅力が爆発してた。アッシェンバッハが追いかけちゃうよ。 白いスーツ、白いビーチ、セバスチャンの崩壊 白ってやっぱり何となく何かの死とかそんなイメージがある。ウール製の水着が最高に可愛かった。

後半からくっきりセバスチャン、ジュリアの章が分かれてて少し衝撃もあったけれど。チャールズは普通の人間のように見えて実に欲深い 人間は欲深いものだけれど。画家であったからなのか、彼は自分が思っている以上に美への執着がすごい。初めて目にしたセバスチャン、次に屋敷、そしてジュリア。確かに彼は全てを求めて、求めすぎている。表面的な美しさに酔い本質を見失ってしまうって言葉が確かにハマる。全てを求めて手放して、再訪した屋敷までもが戦争により移ろっていく。彼が光に包まれて終わるけれど、本当に彼の行く先には未来が待っているの?道に迷い、三人は新しい自分を見つけられたのか。苦しくて、それでも夏の記憶はあんなにも眩しい。

愛はこんなに引き戻せないものなの?
か細いろうそくの火のように過去は彼の中で灯され続けている。もみ消すことができても、それを引き止めるのは何だろう。たった二時間の映画に凝縮されていても、どのシーンより美しかった日々は忘れられない それと似ているのかな。

クマを持ったお坊っちゃまがパディントン駅のお近くのチャールズ君とってもうベンウィショちゃんパディントン演じる運命。
「ベンはカメレオンだ」っていうのわかりすぎてほんとにわかる。あああ〜観た後ずっと切ないよ〜〜 ; ;
あさ

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