Toko

麦子さんとのTokoのレビュー・感想・評価

麦子さんと(2013年製作の映画)
4.4
堀北真希ちゃん、可愛いですね。なんて素直で。

ストーリーは自分と母との関係に被っていて共感しかなかった。
私の場合は私が若い時に家を出て、子どもが出来て結婚した。
「お前も親になったら私の気持ちが分かるだろう」と呪いの言葉をかけられて、一生子どもなど要らない。と心底思っていたが、
産まれた子どもたちは思いの外可愛くて、両親を反面教師にして育て、それぞれ立派に成人し独立して巣立った。そして間もなく
年老いた母が同居を望んできたので、空いている部屋に呼び寄せたのだが、
相変わらずバカで本当にウザいことばかり言ったりしたりするから
つい昔の事なども思い出しイライラして、母が傷つくような事を言ってしまう。

映画の中で温水が、麻生に毒付く麦子さんに対して
「子どもみたいだ」と言っていたが、そうなのだろうか。

私は、小さな頃の自分が本当に可哀想だった。 
母親にはまともな子育てをして欲しかった。
いろいろな出来事をまだ許せないでいるから
どうしてもちょいちょい思い出しては老いた母に対して毒付いてしまう。
憎しみは愛情の裏返しで、実は私は今も母親に囚われているのだろう。
小さな子どもは、親が、特に母親の言動が全てだ。母を信じて愛されたいと願っていた女の子
がまだ私の中に存在している。
母が死ぬ前に、後悔のない様にしたいといつも思っているのに、どうしても優しく出来ない。
その代わりにせっせと料理を作るが、食べなかったりするのでそれでまたイライラする。

映画のラスト近く余貴美子の笑顔に涙腺が崩壊。
酷い事を言ってごめんなさい、と思う。
ごめんなさい。ごめんなさい。

大人になって母の全てを許し、
大人になって母の全てを受け止めて、
最期の母娘の時間を過ごせたら良いと思うけれど
現実は母親の言動がいつも間違っていておかしい。しゃべるな、と思う。
上辺だけ仲良くするなんてそんなのは無理だ。
小さな可哀想だった私が、また酷い事を言ってしまうんだよ。
私も苦しいんだ。

だけど、私が上手に子育てができたのは、
反面教師の両親のおかげかもしれぬ。
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