ユミコ

ながらえばのユミコのレビュー・感想・評価

ながらえば(1982年製作の映画)
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78歳の笠智衆さま主演のNHKドラマ作品。
「老い」が表現されておりそれは実際にお年を召された方以外には 未知の世界。
例えば身近にお年寄りの方がいらして、おおよその事はわかっているつもりの場合でもやはり自分が実際にその年齢にならないとわからない事ばかりなんだと思う。
この年老いた男性(笠智衆さま)の子供たちは それなりの年齢になっておりそれぞれが自分たちの子供のいる家庭を持っている。
智衆さまは お爺さん。
日々、子世代と意見の食い違いが絶えない。
同じく高齢の妻は病で地元名古屋の病院に入院している。
そんな時、一緒に暮らしている長男が転勤する事になり一家は富山へ引っ越す事になる。
入院中の妻は 同じく名古屋に住む長女らが面倒をみる事になりお爺さんは妻と離れて暮らす事に。
しかし引っ越した途端お爺さんは妻の元へ帰りたくなってしまいその気持ちを家族に告げるが いくら何でも富山に着いて間もないのだし、当然もう少し日にちが経ってからにするよう 家族に諭されるのだが聞き入れてはくれない。
お爺さんは自分たちにはもう時間が無いのだと主張しその気持ちは揺るがなかった。
長男たちも考え無しに止めているわけではない。やはり昨日の今日では誰でも止めるだろう。
でもお爺さんの思いもわかるし寂しさや不安、妻への心配など色んな気持ちが突然押し寄せてきたのだろう。
しかし……。
こうしてお爺さんと長男らの意見や気持ちは常に平行線を辿るのだった。
するとお爺さんは、わずかなお金を持って止める長男の嫁を振り払って名古屋の妻に会うため、フラッと出て行ってしまう…。


お年寄り同士、智衆さまと宇野重吉さまがおふたりで語り合うシーンが印象深かったです。
経験は少ないのですが私が映画やドラマを観て思わず泣いてしまう時って徐々にその兆しみたいなシーンが有ることが多かったのですがこの作品では智衆さまのある言葉で 突然 涙がこぼれてしまった…… そんなシーンが後のほうにありました。
全ての年代の方に観ていただきたい作品です。
ユミコ

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