千年女優

リダクテッド 真実の価値の千年女優のレビュー・感想・評価

リダクテッド 真実の価値(2007年製作の映画)
3.0
イラク戦争にアメリカ陸軍兵士として従軍した映画監督を志望する青年で、配属されたサマラのキャンプで仲間たちの様子を記録するドキュメンタリーを撮影するサラサール。過酷な戦争の現場で心がすさんでイラク人に対する偏見を募らせる兵士隊が民間人を相手に働く非道な行為の数々を彼のビデオカメラ映像を通じて描く戦争映画です。

1989年にベトナム戦争で起こった米兵による少女強姦事件「192高地虐殺事件」を題材にした『カジュアリティーズ』を制作したブライアン・デ・パルマがイラクで再び起こった事件を基に作り上げた2007年公開の作品で、米兵を糾弾する内容から本国では批判を集めるも国外で支持を得てヴェネツィア国際映画祭では銀獅子賞を獲得しました。

ショッキングな内容をモキュメンタリーで描くことで事実に基づくという「リアリズム」を追求し、一方で傍観者含め関わった者全員に処罰が下る作劇で「メッセージ」を込めます。英雄を描いた作品が一面的なら露悪に徹した本作もまた一面的と一長一短であって露骨さが逆に糾弾の対象をぼかしていますが、作り手の想いは感じる一作です。
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