デイジーベル

リアリティのダンスのデイジーベルのレビュー・感想・評価

リアリティのダンス(2013年製作の映画)
3.7
「全てを許し、受け入れる″私(貴方)自身″の物語」

◯作品概要◯
ホドロフスキー監督が描き出す独特の世界観。23年ぶりに撮ったこの作品は自身の自伝的作品といわれている。
ホドロフスキー〜原作・脚本・監督・出演。
息子3人〜主演(出演)・音楽担当。
奥様〜衣装担当。
という、まさに家族総出で描き出した「家族の物語」

◯ストーリー◯
権威的な共産主義の父ハイメと、息子が自分の父親の生まれ変わりと信じるオペラ調でしか喋らない母親サラ(オペラ歌手になりたかった母親のイメージ)。ロシア系ユダヤ人で「ピノキオ」と周りからは差別され、愛に飢え、世界に隔たりを感じる幼少期のアレハンドロ。鮮やかで美しい映像と寓話的に描かれる「父と子」「父と母」「母と子」の物語。

◯感想◯
この作品には、過去のホドロフスキー作品に見られる″イメージ″やモチーフが沢山出てくる。この事からも、少年時代の実体験がそのまま彼の″イメージ″やモチーフに繋がっている事が伺える。″少年″は何歳になっても必ず自分の中に存在するものなのだ。

「全ての事象は主観的な見方の産物である。」

過去に囚われて人生を楽しみきれないのは愚かな事だ。物事の見方(主観)を変えれば、過去も輝きだす。″許し″と″自由″を手に入れられる。今は過去の上に成り立っている。今を素晴らしいものにするには過去を変えればいい。そう″過去″は変えられる(″変えていい″)と教えてくれている。

「人はいつだって生まれ変われる。」

全ての自分の物語(人生)は、見方を変えれば本当は″楽しさ″へと繋がるものなのかもしれない。この作品は″現実″はダンスしてるかのように楽しげなものだと、我々に気づかせてくれているのかも知れない。


◯補足と雑記◯
ホドロフスキー監督の過去の生い立ちを知っていると、より深く作品を楽しめるのかも知れません。ただ、やはりこの作品は頭で考えて観る映画とゆうよりは、「体験」して「感じる」映画のような気もします。(私自身に教養が足りない為そうゆう楽しみ方しか出来ないとゆう事実もありますが。)この作品を観た後だと、過去の作品も少し見方が変わってくるかも知れませんね。
ちなみに新作「エンドレスポエトリー」は、私の住む地域では公開前の為未見だが、彼の最高傑作になり得る程の期待を抱いている。(´ω`)