あなぐらむ

性と愛のコリーダのあなぐらむのレビュー・感想・評価

性と愛のコリーダ(1977年製作の映画)
4.0
タイトルからは全く想いもつかない、小沼勝監督の超怪作ロマンポルノ。
劇中の小川亜佐美の台詞「貴方も一回死んでみれば?」が示すように「性」を描からざるを得ないロマンポルノは、反射として「死」を映すのだ、という事を念頭に、ロマンポルノ自体をメタ・フィクションにしてみせた様な仕上り。

小川演じる自殺願望のOL、八城夏子の上司と不倫しているOL。
今では放送禁止となった「OL」女性が性と消費を謳歌し始めた時代に、ロマンポルノはどうあるべきなのか。小沼は自分達がやってきた事例を反芻(神代作品のパロが多いのは「ロマンポルノ的」であるからか)しつつ、次の地平を探していいく。

それにしても、小沼監督は片桐夕子の使い方が毎回酷い(奥様だったのに)。今回も「学生妻 しのび泣き」の曲の中で坂本長利に縛らせて放置プレイ。
谷ナオミが爆笑のSの女王様でゲスト出演。鶴岡修は自身の代表作のセルフパロディ(笑)。なんなんだこの映画。最高。
ロマンポルノのエポックとなった「恋人たちは濡れた」の構図と「OL日記 牝猫の情事」の逆転した構図を、田中陽造と鹿水晶子がブレンドしてホンを書いたと推察する。トリックスター坂本長利は"ロマンポルノそのもの"’(だから警察に常に追われている)。
これらバラバラの要素が、最期にまとまるから凄い。