伊達巻

愛の新世界の伊達巻のレビュー・感想・評価

愛の新世界(1994年製作の映画)
4.5
明日からまた超面白いに決まってる!そう言い切ることの全ては希望から来ているのではなくてむしろドン底の絶望を振り切ったある種の諦念みたいなものも混ざって聞こえてきて、でもだからこそこんな言葉も頼もしく思えたりする。話自体はけっこうめちゃくちゃなんだけどそんな悲しみにおさらばするような清々しい勢いってもんが映画全体を貫いていて気持ちが良い。アユミが演劇を見終えて泣きながら漏らした「良かったよーよくわかんないけどすごく良かったよう」の感想がこの映画にも当てはまりそう。エイズの話をあんなに明るくしちゃう作品っておれは知らないんだけど、そういった罪深さを受け止めつつ一回きりの人生に花火を打ち上げようとしてくれるこの映画の割り切った愉しさを嫌いになれないなと思う。なんといっても「愛のないセックスはしないの」からの「渋谷に帰ろう」で山崎ハコの「今夜は踊ろう」をバックに朝焼けの街を疾走するシークエンスがんもうどちゃくそに素晴らしくてふたりが最後の階段を上がって笑うところでもう涙が抑え切れなかった。なんて素晴らしいのか。終盤のドライブからの海辺SMも思いっきり楽しくて笑っちゃう。
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