Shizka

ラストエンペラーのShizkaのネタバレレビュー・内容・結末

ラストエンペラー(1987年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

中国最後の皇帝、溥儀の一生ってこんなに波瀾万丈だったのか。

西太后から勝手な指名を受けて3歳で即位。出たくても出られず、周りは共和国になっていくのに紫禁城だけは変わらないまま。紫禁城から追放した日本から呼び戻されて再び皇帝になるという傀儡が、とても悲しい。

彼の幸せだったのは乳母がそばにいた頃だけだったのだろうか。果ては便所掃除までさせられてそれでも生きていく彼は、したたかではなく、ただ主体性がないのだろう。

刑務所の所長の解放を嘆願した以外に、彼が自分から行動したことがあっただろうか。流れ流れて、最後は紫禁城で幕。いつも誰かの意のままに起動しなければならなかった彼はそれ以外の生き方を知らなかったように思える。

何を望んでも叶うことのない彼の一生が、憐憫を催したよ。こんな人生ってあるのかよ、、

彼の一生の間に中国も変わりすぎるほど変わっていて、完全に時の流れが止まっていた紫禁城と、共産主義でいきなり活動的になった女性の対比、すごかった。簡単に違う色に染まる、これも激動の時代にしかありえないことか。

映画というよりも、感情たっぷりの歴史ドキュメンタリーを見た、という感じ。いつまでも心に残る、操り人形のドキュメンタリーだ。
Shizka

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