ちろる

おじいちゃんの里帰りのちろるのレビュー・感想・評価

おじいちゃんの里帰り(2011年製作の映画)
3.8
1960年にトルコからはるばるドイツに労働者としてやってきて3世代の大家族を築き上げたフセイン爺ちゃん。
突然トルコに家を買ったからトルコにみんなで里帰りしたいと言い出した事で始まる珍道中!
フセインじいちゃんを演じた ヴェダット・エリンチンの深〜い愛情を持って優しい目で家族を見つめる大家族の長っぷりがとても温かい。
おじいちゃんの過去の苦労を何も知らない何も知らない末っ子の孫に、従姉妹がおじいちゃんのトルコからドイツの生活までの壮大なストーリーを聞かせてあげる方法で、過去の回想劇が入り込むプロットがとても好き。
まるで私もフセインじいちゃんの孫になった気持ちで一緒にトルコの旅にワクワクしなが、引き込まれた。
さぁ、おじいちゃんは果たして何のために家族を生まれ故郷に連れて行きたかったのか??
おじいちゃんの奇想天外な思いつきに振り回されながらもおじいちゃんの気持ちを尊重するこの家族の絆の深さが純粋で羨ましいし、こんな風にルーツを知る事が人間にとってどれだけ大切な事なのか、これを観ると改めて考えさせられる。
「ドイツは労働力を入れようとしたが来たのは人間だった」
「我々とは何か?我々とは我々なくして将来起こりえなかった事をなしとげた存在である」 

ドイツは今現在、ヨーロッパ一の移民の国でありさまざまな問題も指摘されている中、今日のドイツの経済的発展に関してもフセインおじいちゃんのような真面目な海外の労働者の姿があった事、実際のメルケル首相のスピーチシーンも挿入しながら、移民たちへの尊敬と感謝をしているという意味でも、とても意義のある作品だったんではないかなと感じました。
ちろる

ちろる