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鑑定士と顔のない依頼人のCのネタバレレビュー・内容・結末

鑑定士と顔のない依頼人(2013年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ヴァージル・オールドマンは鑑定士。金持ちで潔癖症で人間嫌い。不正落札で肖像画を安く買い集めるのが趣味のいけ好かないジジイ。相方のビリー(キーファーのパパ)とは古い付き合い。彼は画家であり、不正落札詐欺のパートナーでもある。「絵の才能はない」とはジジイの談。マジいけ好かない。

ある日、クレアと名乗る若い女性から「屋敷にある品々(親の遺産)を査定して欲しい」と云う依頼を受け、渋々引き受けるも依頼人はやり取りを電話・壁越し・ドア越しで済ませ、絶対に顔を見せてくれない。使用人に聞くと広場恐怖症で11年間誰にも会わず外にも出ていないと云う。

失礼なやっちゃと思うけど屋敷で見つけた歯車を友人の機械職人の工房に持ってったら「歴史的大発見だ!」って云われて舞い上がるジジイ。部品をパクッて来る下心があるとは言え、何度も通う内に次第に心が通い合う二人。ついに部屋から出て来てくれる依頼人。

ドキがムネムネするジジイ。服や花を贈って食事してどんどん親密になる二人。友人である機械職人に「プレイボーイの俺には分かる。You、恋…してますね?」とか言われてバッ、ちょ、おま///ってなるジジイ。パイレーツ・オブ・カリビアンのバルボッサ。

そんな折、ジジイはクレアの屋敷の前で暴漢に襲われ夜道に倒れる。それを見たクレアは心配のあまり外に出てジジイを介抱し、人を呼びに走って行く。広場恐怖症なのに!11年もドアを開けられなかったのに!外に出た!自分の命を救うために!感激したジジイ、完全にフォーリンラブ。

クレアを屋敷に呼び、相方のビリー以外誰も知らない秘密のコレクションルームに招き入れる。ここに他人を入れるのは初めてだ…いやクレアは他人じゃない…良かったら…け、っけ、結婚…、そんなジジイを抱きしめ「例え何が起きようと貴方を愛しているわ」と言うクレア。二人で迎えた初めての朝。幸せいっぱいで目を覚ましたジジイは、次の出張オークションを最後に引退を決意する。

一人出掛けたロンドンでの出張オークションを無事に終え、晴れ晴れとして帰宅するジジイが見たのは、もぬけの殻になった自慢のコレクションルーム。生涯を賭けて(詐欺で)集めた絵画が一枚もない。そんな事よりクレアが居ない。何かあったかとクレアの屋敷にすっ飛んで行くけどそこもからっぽ、使用人も居ない。しかもお向かいにあるバーの人が「あそこ?空き家だから安く貸すよ?」とか言う始末。

愕然とするジジイ。何が何だか分からず、とりあえず自宅に戻るジジイ。ふと見れば一枚残っていた絵画。クレアの母親の肖像画。だけど何でかビリーのサインが書いてある。そして文字が続く。「ありがとね、バイバーイ」

そこで気が付くジジイ。ビリー、クレア、職人、使用人、お前ら全員グルだったのかーーーー!

失意の中時は流れ、別の町に引越したジジイ。ウエイターに一人かと訊かれ「連れを待ってる」と言って席につくジジイ。
ここはかつてクレアが話してくれた店「ナイト&デイ」。いかなる贋作の中にも必ず本物が潜む。ジジイは待つ。あれは、あの愛だけはきっと本物だったと信じて。
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