くじら

大統領の執事の涙のくじらのネタバレレビュー・内容・結末

大統領の執事の涙(2013年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

アマプラの無料期間が終わるので字幕版で視聴。

 大体1950年代〜オバマ大統領就任まで、7人の大統領の執事を務めたセシルの物語。黒人の差別、人権とは何かについてを軸に、アメリカが抱えた問題にも触れていたと思う。映画で描いていた時間が長いので一度見ただけでは全て拾いきれなかった。
 黒人が受けてきたことを描いた他の映画たちと、その時代がどうだったかを振り返るのにも適してると思う。

覚え書き
 白人に何故何も言わないと言ったことで父が死んだこと、2つの顔を持つよう教わったことで生きてきた主人公。人権のために非暴力な活動をすることで国と戦い、変えようとした長男。そんな兄を見てきて国のために戦おうとしベトナム戦争で戦死した弟。家庭のこと、夫や長男のことで悩んで苦しんだ母などの家族の話と、次々変わる大統領によって変わっていく世界、運動やデモへの弾圧、誰かの死によって変わってしまうこと、アメリカの戦争など色々な要素があった。歴史を知ってたらもっと分かるんだろうなと思う。

 父と長男はそれぞれ戦い方は違えど、どちらも黒人の地位向上のため戦っているという発言がよかった。最初の方で息子の白人の席に座る抗議活動と、父のホワイトハウスでの給仕の様子がリンクしてたのも、違う戦い方だっていうのを表現しているように見えた。この2つの考え方は、「デトロイト」で見た黒人警備員と暴徒化してしまう人々の考え方の違いと同じような心情なのかなと思った。そして仕事をやめ、息子と一緒に活動するシーンもいい。仕事を失うよと息子に言われ、お前を失ったという返しがいい。
 ケネディ暗殺の描き方が静かでいい描写だった。黒人の地位向上のため動こうとした矢先だったことに胸を抉られる。
 女性の社会進出のプラカードも一部映っていたが、この作品では明確に描かれてはいないものの、奥さんたちの放置され方や政治への関心を持つ女性などから少し触れられていたように感じた。
 主人公と奥さんの愛情、問題があってすれ違ってでも一緒に歩んできたことが良かった。
 大統領のパーティーに招待された時の描写の残酷さが胸に残る。一方で、オバマ大統領と彼はどんな話をしたのか、気になる。


 
くじら

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