Ryoma

午後の網目のRyomaのレビュー・感想・評価

午後の網目(1943年製作の映画)
4.7
これはやばい。大傑作だ。『アンダルシアの犬』を凌ぐシュルレアリスム映画の最高到達点だと思う。メビウスの輪のような、完全に閉じつつ、しかし無限に通行できる、きわめて複雑な円環構造を持った物語は、まさに我々の無意識から醸成される、不安と恍惚に満ちた悪夢そのものだ。意識の底にひっかかる妖しいモチーフ(この映画でいうと、花、影、鏡、鍵、階段、ナイフ、自分自身…)が時と場所を越え、執拗に、歪められ、変容して、混ざり合い、溶け合い、強迫観念のような形で、反復される。とても神秘的だが、きわめて不気味。…これ程までに胸の底がぞわぞわする映像体験は、未だかつてなかった。
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