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『エンジェル・ダスト』に投稿された感想・評価

netfilms

netfilmsの感想・評価

3.8
 毎週月曜日の帰宅ラッシュの時刻、山手線内で女が殺される連続殺人が発生した。被害者は若い女性ばかりで、殺しの前に僅かに口笛が聞こえた。警察は事件解決の為に異常犯罪性格分析官・須磨節子(南果歩)の起用を決めた。彼女は被害者に同一化することによって犯人像を明らかにしていく特殊な才能を持っていた。精神的に危険でもある節子を支えるのは、同じ大学の精神医学研究室出身の夫・トモオ(豊川悦司)だった。被害者たちに面識はなかったが、やがて事件の鍵を握る容疑者として、新興宗教に走った人間を荒っぽい心理療法によって引き戻すことを仕事にしている、いわゆる逆洗脳士の阿久礼(若松武史)の名前が浮かび上がる。

 ロング・ショットで据えられた東京のネオンは人々を呑み込んで行くかのように不気味に光る。90年代、物質的にも経済的にも飽食の時代に突入した大都市・東京は見えないストレスに晒されていた。石井聰亙(改め岳龍)の『逆噴射家族』以来10年ぶりの長編作品は、静かにだが確実にヒロインの心に不安が侵犯して行く。冒頭の洞穴への侵入から夫が突如消え、阿久の声が聞こえて来たことからも明らかなように、今作で阿久は快楽殺人でかつての恋人である節子を、底なし沼のような心理的圧迫で徐々におびき寄せて行く。明らかにジョナサン・デミの『羊たちの沈黙』を念頭に置いた今作での節子は、ハンニバル・レクターのような催眠洗脳にかけられ、著しく精神の均衡を崩して行く。彼女を罠にはめる阿久礼という男は、「悪霊」とも名前がよく似ている。

 若松武史(改め武)の演技は声が聞こえないほど抑制されたトーンで、ほとんど口を動かさずに話す。だがその眼光はあまりにも鋭く、ハンニバル・レクター以上の怖さでヒロインに迫るのだ。節子の到着を飄々と交わしたかと思えば、緯度・経度のナンバリングで彼女を巧みに青木ヶ原珠海へと誘う。石井聰亙の等間隔のカッティングは、加速度的に速度を上げ節子の心を蝕んで行く。殺人現場の惨たらしい写真の羅列や秒針の音、周るコインランドリーの螺旋やロー・アングルで撮られた人々の密集する新宿駅構内。溺れるようにヒロインは突っ伏して倒れるのだが、その姿を少し遠めから据えた笠松則通のゲリラ撮影の底知れぬ怖さがフレーム内に充満する。

 今観るとTVモニターの向こうでモノクロVHSで撮られた洗脳の過程がやや冗長に映るが、映画はまるでこの後に起きたオウム真理教の地下鉄サリン事件を予見するかのように、クライマックスで節子を上九一色村のロケーションに位置する阿久の研究所へとおびき出す。『羊たちの沈黙』の大ヒットで世界各地で数多のサイコ・サスペンスが作られたが、黒沢清の『CURE』の3年前に今作が撮られたことはもっともっと評価されていい。彼女を愛した夫や刑事までもが救えなかった悲劇。ヒロインの凋落した肩を阿久はしっかりと抱きしめると意味ありげな顔を見せる。ドラマチックなアクションはほとんどなく、主に微妙な表情と悪魔の囁きのような僅かなつぶやきに彩られた阿久礼の心理描写は、演劇人だった若松武が映画で見せた最高の演技だった。あらためて4月14日に70歳で亡くなった若松武氏に心よりお悔やみ申し上げる。
菩薩

菩薩の感想・評価

4.1
すんごい…バッキバキ…。これがオウム事件の前年かつ『CURE』の3年前ってのは単純に凄い。勿論骨子は『羊たちの沈黙』なんだろうけど、そこに90年代の東京の凍てついた空気感と霊峰富士の麓の荘厳さが乗って来る異様さ。これをピンクのフィールドでやってたのは佐藤寿保だろうし、テレビのフィールドに引きずり込んで荒らしまわったのが2000年頃の堤幸彦、なんて気がしてしまう。山手線内での連続殺人、樹海での再会、恐怖のコインランドリー、新宿駅ゲリラ撮影、最高じゃん…。
教授

教授の感想・評価

-
ジョナサン・デミ監督の「羊たちの沈黙」から派生した作品は洋邦問わず数え切れないくらいに誕生したが、邦画ではその最初期の作品だと思う。

この「ありがちな」ディティールを用いて「ヤバい映画を撮る」という気概が石井聰亙監督の後年の持ち味だと最近になってわかってきた気がする。

ストーリー的な部分や、登場人物の描き込みは、かなり杜撰とも言えるし、甘いとも言えるし、ステロタイプ過ぎる点が多い。
そのため「難解」というよりは語り口が上手くない映画ではある。

ただそこに「変な映画」である事の矜持のように豊川悦司が演じる主人公の夫トモオが物語の文脈に関係なく「両性具有」として描かれていたり、メフィストテレス的な全能感を誇示する阿久礼(若松武史)も現代的な視点で見ても「トキシック・マスキュリニティ」でもあるし、単に「頭の良いポンコツ野郎」としてしっかり描かれている点はさすが。
またそういった男性性に籠絡される「知性的」な女性の業のようなものを主人公の節子というキャラクターを通して南果歩がリアリティを持って演じている。というよりも、南果歩自体がそういう人なのではないかと思えるので「キャスティング勝ち」にも見える。

本作の公開後に「オウム真理教」事件が世間を騒がすのだが、その「先見性」の凄さに驚く。
ただそれ以上に、全身全霊でそういったオカルトやスピリチュアルなトピックに飛びつきながら、そのいかがわしさや、インチキさ、詰めの甘さが生み出す悲劇を描き出していることは興味深い。

その上で冴え渡っているのは、石井監督の「都市の持つ不穏な空気」の演出であり、経済的な豊かさの代償を払わされている当時の東京のヤバさを見事に切り取っている。
映画としては失敗作だとは思えるが、面白かった。

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