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ブロークン・トレイル 遥かなる旅路のHKのレビュー・感想・評価

3.7
ウォルター・ヒル監督の最新西部劇です。
と言っても17年前のTVムービーですけど。
でもエミー賞、ゴールデングローブ賞ともに作品・主演男優・助演男優賞の受賞作。
前・後編各90分(計3時間)ですが日本ではDVDスルー。

老カウボーイのロバート・デュヴァル(当時75歳)と甥のトーマス・ヘイデン・チャーチ(当時46歳)が、オレゴンからワイオミングに500頭の馬を追う途中、行きがかり上中国から奴隷として売られてきた5人の娘を助けますが、娼館の女将はならず者たちを雇い娘たちの奪還を命じます・・・

西部劇に弁髪の中国人がよく出てきますが、当時の清国は貧しく、夢を追って西部に渡った中国人や、家族の生活のために売られて来た中国人女性も多かったようで、本作ではその辺も描いた珍しい西部劇と言えます。

ヒル監督は西部劇作品の『ロング・ライダース』や『ワイルド・ビル』などはもちろん、『48時間』シリーズや他の現代モノ作品群からも西部劇の匂いがプンプンしており、かなり西部劇好きであろうことがうかがえます。
一時期はペキンパーのマネばかりして鼻についたこともありましたが、本作は地味ながら地に足の着いた本格西部劇の良作でした。

デュヴァルはインタビューで『ロンサム・ダブ』(1989)、『ワイルド・レンジ』(2003)と本作で自身が主演した西部劇三部作と称しているようですが、役柄がどれもガンマンというよりカウボーイというのが特徴。
劇場公開作は、ケヴィン・コスナー共演の傑作ウェスタン『ワイルド~』のみ。
『ロンサム~』は本作と同じTVシリーズでトミー・リー・ジョーンズ共演ですが未見。
各90分で4章までありDVDも買うと4枚なのでどこかで配信して欲しい。

T・H・チャーチは出演作を何本も見てるのに印象が弱く、今回ようやく顔を覚えました。
他には、やはり名前は出てくるけど顔は思い出せないグレタ・スカツキ(『推定無罪』)、良く見る悪役顔だけど名前が覚えられないクリス・マルケイ(『ツイン・ピークス』)など。
本作の原題は“Broken Trail”で邦題もそのままカタカナ。
副題も“遥かなる旅路”じゃ漠然としてるのでもう一工夫欲しいところ。
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