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イヴ・サンローランのPalenicheのレビュー・感想・評価

イヴ・サンローラン(2014年製作の映画)
4.2
本日、イヴ・サンローラン展に行って、初めてピエール・ベルジェという彼のパートナーの存在を知った。二人で写った写真を見ると、サンローランの美しさとアーティスト然とした存在感に対して、ピエールはごく一般的な雰囲気の知的男性という感じがして、違和感を覚えた。

が、映画を観て合点がいく。サンローランが天才であることに変わりはないのだが、ピエールという公私ともに支える人がいて、あれだけの才能が花開いたのですね。ピエールの存在がなかったら、サンローランは途中で壊れていたのかもしれない。

それにしても、全編を通して映像が美しい。100年前の女性たちは、あんなに上質な服を着て、優雅な所作で暮らしていたのか、と思うと、安っぽい服で身を固めている今の時代が本当につまらなく思える。少なくていいから、上質なものを選んで、毎日をいい気分で過ごしたいものだなあと改めて思った。

そういえば、映画の途中で何度もカール・ラガーフェルドが出てくるのだが、彼の名前は最近はあまり聞かない(少なくとも日本では)。それを思うと、もはや神格化しているサンローランというのは、やはりレベルの異なる芸術家だったのかな。
そんな人に徴兵制を強いた戦争というものはやはり恐ろしいな。ふだん、愛に満ちた心で創作にエネルギーを注いでいるひとが、いきなり真逆の精神性の中に放り込まれたら、それは壊れるよね、と納得。美しいものと愛に囲まれた世界で生きていきたいものだな。
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