emily

バルセロナ、天使のセックスのemilyのレビュー・感想・評価

3.2
バルセロナの雑誌社に努めるカルラの彼氏ブルーノは、ストリートダンサーのライとひょんなことで知り合い、友情関係を築く。しかし男二人の関係は次第に親密になり、ブルーノも気が付いたらライを友人以上の感情を持つようになり、そのことがカルラにばれてしまう。それでもブルーノのカルラを愛してる気持ちを信じ、奇妙な三角関係を続ける。彼女は嫌っていたはずのライの人間性に触れ、彼に惹かれていく。

 バルセロナの街並み、スタイリッシュな雑誌社やダンス、ラグジュアリーな部屋や、美男美女ぞろいの同僚や友達達。ビジュアル面でモデルの集まりみたいな目の保養ができる。特に男二人が真逆のタイプで、両方イケメン、しかも鍛え上げられたボディの筋肉の動きもカメラが繊細に追い、魅せられる。逆にカルラ役の女性はいつも焦っており単体で見るとそこまで可愛さを感じられないのだが、二人の間に配置されると非常に魅力的で、キュート。

 奇妙な三角関係は悲劇から一気に喜劇に代わり、ドタバタ劇感があるのだが、その異端な光景もよく考えると単純に理解しゆることである。好きな人が好きになったものを好きになりたい。誰しもが思うことである。例えばカラオケが好きな彼氏なら、私もカラオケ好きになろうとか、歌える歌を増やそうとか思うはずだ。それと全く同じ原理で、大好きな彼氏が好きになった男の子、私も好きになりたい。知りたいと思っても不思議はない。はじめは敵対していたカルラとライ。観客はどうしてもカルラに感情移入してしまうが、ライだってカルラと同じように、彼女に嫉妬し苦しんでるのだ。単純なことだが、本作はカルラよりで描かれており、ライの葛藤にカルラが気が付くと共に、その関係に穏やかな空気が走りはじめ、いったんは三角関係が安定したにみえた。

 しかし3人というのは難しい。嫌いという感情があれば、好きになるのは簡単である。そうして好きな人が好きな人は、当然自分も好きになっても不思議はない。そんな絶妙な三角関係と、同じように浮気男を好きになり許してしまう母親と同じ道を進んでいくカルラ。理屈ではない。二人を本気で好きなんだからしょうがない。そうしてその間にいるブルーノも二人と同じ立ち位置に立たされることで、二人の苦悩もしっかり見えてくるという、一見行き過ぎ感のある三角関係だが、それぞれの立場に立たたすことで大事なことを見せ、かけがえのない関係であることを感じさせる演出は面白い。

 
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