reira

6才のボクが、大人になるまで。のreiraのレビュー・感想・評価

3.3
12年、出演者を撮り続けたからこそなのか、すべてをリアルに感じた。

両親の離婚、義父からの暴力など、残念ながらよくある話ではあるが、寡黙な主人公が幼い頃から、どのように周りを見て育ったか。すべての環境が彼をどう形成していくのかをクリアに見れた気がする。

子供に好かれたくて、楽しいことだけを一緒にする実父。口では感謝を伝え、お金をサポートすると言うがお財布は空で、また後で渡すと言い立ち去る。それも愛情で、真の気持ちであっても「そういうところよ」と思ってしまう。

母親は本当に一生懸命に生き、2人の子供を育て素晴らしいと思うが、息子が大学に進む際、「次のイベントは私の葬式よ」など、率直な気持ち、不安を子供にそのままぶつけてしまう不安定さを少しだけ怖いと思ってしまった。でも、真面目に必死に生きてきた人だからこその言葉で、「これからは自分のために、好きに生きて」と応援したくもなる。

10代後半の、なんとも言えないピュアさ、強がり、期待、失望、気だるさなど、様々な感情がすべて詰まっていて、クリアに伝わってくる。それこそが12年かけた意義なのではと思う。
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