こたつむり

フライペーパー! 史上最低の銀行強盗のこたつむりのレビュー・感想・評価

4.3
♪ いつでも正しい人なんているのかな
  まあ そんなこと 
  たいした問題じゃないネ

いやぁ。これは掘り出し物ですね。
「オープニングがオシャレな映画にハズレ無し」と言いたくなるほどに、最初からグイグイと引っ張ってくれる素敵な作品でした。

物語としては「二組の銀行強盗が同時に襲撃。一時は混乱して銃撃戦になるものの、居合わせた主人公の提案に従い、お互いの領分を定めて金を奪うことにする。しかし、事態は更に混迷していく…」というサスペンス…ではなくコメディ。

だから、緩いのです。
特に片方の犯人たちは目が細くなるほどにおバカ。素顔で襲撃したり、人質に銃を手渡してしまったり。犯罪者のランク付けで言い争うところなんて“リアリティ”の欠片もありません。

でも、それが良いのです。
頭を空っぽにすることが大切なのです。
ちなみに脚本を仕上げたのは「ハングオーバー!」のジョン・ルーカスとスコット・ムーア。軽妙な筆致は折り紙付きでした。

また、本作の特徴はミステリ要素の加味。
襲撃時にでた犠牲者は誰が殺したのか…?
という謎がアクセントになるのですが、この弛緩と緊張(ほとんどありません)が交互に来る展開は見事な限り。箸が止まらなくなります。

ただねえ。
伏線となり得るポイントを削げ落とした形でエンドロールを迎えるのは…肩が下がりますよねえ。やはり、どんな形でも(それが強引だとしても)納得感は欲しいところ。中盤までが秀逸な展開だけに、この部分は残念でした。

まあ、そんなわけで。
結果ではなく経緯を楽しむ物語。
「伏線って食べ物?」くらいの気持ちで臨むことをオススメします。また、配役からして有名な俳優さんが一人もいないし、その殆どが“むさ苦しさ100%”なので、ウフンアハンの展開は期待しないほうが吉です。素敵な谷間はありますけどね(意味不明)。

最後に余談代わりに個人的メモ。
タイトルの『フライペーパー』はハエ取り紙のこと。紙飛行機ではない。
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