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おもちゃ 虐げられる女たちのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

4.7
記者イ・ジャンホ(マ・ドンソク)のもとに、自殺した女優チョン・ジヒ(ミン・ジヒョン)からの書類が届く。
書類の真実性を調べたジャンホは、彼女の死に疑問を抱く。
芸能事務所のチェ社長が彼女の死に深く関わっていると確信するが、証拠や証人に不審な点が見つかる。
事件を担当する女性検事キム・ミヒョン(イ・スンヨン)と力を合わせて真実を暴こうとするジャンホの前に、見えない巨大な力が立ちはだかる……。
2009年に事務所社長に映画監督や広告主の大企業社長などに性接待を強制され自死した女優チャン・ジャヨンの実話を元に、性接待や間接殺人など韓国芸能界の闇を暴露する社会派サスペンス映画。
扱う内容が内容だけに、企業やマネージメント会社から十分な出資を受けられず、クラウドファンディングによって製作費が集められた。

才能があっても事務所社長と結んだ奴隷契約を盾に、映画監督やスポンサーの大企業の社長に酒の席での接待を強要され、新人女優が性暴力の被害を受けたり、映画の撮影現場では急に脚本が変わったと言って映画監督がベッドシーンを女優に強要して、性接待を拒絶したら女優に仕事を与えないなどして、事務所を辞めると言えば多額の違約金を払えと脅し、女優を性的に搾取する。
日本でも、数年前に園子温監督などが、女優に性接待を強いたり性暴力を振るったことが告発され、最近ではジャニーズ事務所社長のジャニー喜多川が目をつけた未成年のジャニーズJr.に性接待を強いたり、性暴力を振るったことが告発された。
権力者による性的搾取を追求する中で、裁判やマスコミの追求を逃れようとする権力者が、報道記者や裁判の証人になる被害者関係者に圧力や妨害工作を仕掛け、クライマックスの裁判では裁判長までもが加害者の味方になり被害者側の検事の加害者への尋問を妨害するくだりなどでは、権力を悪用して性的搾取をする権力者と裁判長や警察などお互いの地位と権力を守り合う根深い構造が露わになり、ジヒの女優仲間ダリョンが涙ながらに事務所社長のジヒへの性接待強要を告発するシーンや裁判長の加害者への尋問の妨害にキム検事が「まだ尋問は終わっていません!」と抗議するシーンが、エンドロールに流れる「女性演技者の45.3%が酒席同伴の要求を受け、62.8%は放送関係者や社会有力人士(人物)に対する性接待提議(提案)を受けた経験があると回答した。(国家人権委員会2010年「女性演技人人権侵害実態調査」)。」と、上のメッセージが観る者の心に重く残る社会派サスペンス映画。
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