京

はなればなれにの京のレビュー・感想・評価

はなればなれに(2012年製作の映画)
4.0
遊び心に溢れた映画。ラジオから流れる音楽で自然と皆が踊り出すシーン、無駄な台詞がないからこそ面白い消灯争いのシーン、3人のポーズが秀逸な釣りのシーンなど、好きな場面がたくさんある。
何か起きる予感からの…くすっと笑える展開、が結構あって印象的だった。「くるぞくるぞ…きた!」みたいな感じ。

ちっちゃい子に撃たれて倒れてみせたり、みんなで飛行機に同じように手を振って見送ったり。愛すべき3人だなぁ、と。3人が不思議な縁で知り合い、日常と離れた場所でゆるりと流れる時を過ごし、共通の経験を通して緩やかながらも強く結び付き、そうしてまた、共通でない彼らの日常に戻っていく。それぞれの生活を生きていく。
ラストの3人はそれまでの自分の生活に「意味」を見出すけど、それは自分たちと遠くかけ離れたものじゃなくて、きっかけがあれば誰にでも起こりえることなのだと思う。きっとね。

単なるオマージュではなく、観ている側をわくわくさせてくれた下手監督。今後の作品も楽しみ。
(ユーロスペースにて100分版を鑑賞)
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