このレビューはネタバレを含みます
天才数学者が解読不能の暗号エニグマに挑んだ、実話を元にした作品。
天才だけど変わり者のアラン。そのせいで人と打ち解けられない。
イヤミを言われて疎まれて。それでも、一人でも真摯に問題に向き合って。そんな姿がいつの間にか周りに人を呼んでいたんだね。
アランがクビにされそうになった時、今まで疎んでいたはずのチームの仲間が彼を庇ったのには涙が出た。
仲間と打ち解けて、ジョーンと婚約して。だけど解読とマシン制作はなかなか進まなくて。期限が迫る中、ジョーンの同僚の言葉に何かを閃いて走り出したシーンはワクワクした。
エニグマを解読して。だけど解読したことを敵に知られるわけにはいかないから、わかっている攻撃を止められない。
生かす人と殺す人を選ぶような、そんな選択をせざるを得ない苦悩は想像を絶する…
その後、戦争が終わって元の仕事に戻ることになって。エニグマ解読に関する物をすべて燃して、携わったとわかるようなものはすべて破棄されて。
だから、泥棒に入られた時に何も盗られてないって言ったのか…何も言えなかったのか…
元の生活に戻って、アランが同性愛の罪で有罪判決を受けて。
ジョーンが訪ねた時にアランがひとりは嫌だって泣いたのが頭から離れない。
ひとりに見えていても、ずっとひとりじゃなかったんだな。クリストファーがいたんだなって胸が苦しくなった。
最後、彼は自殺したって書いてあって。
映画である以上ある程度フィクションも含まれるのはわかってるけど、天才の人生はどうして悲哀に満ちてるんだろうって思わずにはいられなかった。
調べてみたら、彼の自殺方法は"青酸カリ入りのリンゴを囓る"だったらしくて、最初の青酸カリとみんなに配ったりんご…!ってなった。わかる人にしかわからない伏線…これつらい…
某企業のロゴである"かじられたリンゴ"が、コンピューターの産みの親である彼の死因に由来してるって説もあるらしくて…
なんか、それ知って無性に叫びたくなった。
そういえば、ソ連のスパイだったケアンクロス。アラン・リーチ。どうしてこの人はこう…裏があるというか一筋縄ではいかないというか…そんな役が多いのか。
天才は人に理解されづらいものなんだろうなって思ってたけど、きっと、ひと握りの理解者がいれば、それだけで素晴らしい人生なんだろうな。
"あなたが普通じゃないから世界はこんなに素晴らしい"なんて言葉、心から理解していないと言えないし。
知ってはいたけど見る機会がなかった作品。
見て良かった。