きざわ

悼む人のきざわのネタバレレビュー・内容・結末

悼む人(2015年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

考察力もなければ語彙力も文章力もなくてどう表現したらいいのかわからないのが虚しいが、評判が良くなかったわりに自分としては素晴らしい作品だと思った。(原作を知らないからかもしれないけど) というのも、一つの物語の中で、静人のみならず、静人の母、旅を共にした倖世、牧野やその父親、さらには牧野が買った少女、などなど、あらゆる登場人物の心の変化というか、様々なストーリーが丁寧に描かれている作品だと感じた。

「あなたがたくさんの人を愛し、また愛されていたこと、そんなあなたが確かに生きていたこと、僕は忘れません」

この物語の主題を正しく掴み切れている自信はないが、少なくとも自分は、生きている中で誰しもが愛し愛されている、そして人は死んでからもなお、愛し愛された相手が生きている限り、その中に刻まれ生き続けている、ということをこの作品から学んだ。自分のことを覚えてくれている人がいなくなって初めて本当の死、というような言い方をするけれど、牧野が叫んだように、誰かの記憶にしっかりと残るような、生きていたことが確かに刻まれるような、そんな生き方をしたい。今はしんどいばかりの自分の人生も、自分を取り巻く家族を初めとする愛の大きさに支えられて初めて成り立っているということを感じた。心震える作品だった。
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