ミシンそば

アクトレス 女たちの舞台のミシンそばのレビュー・感想・評価

アクトレス 女たちの舞台(2014年製作の映画)
3.4
舞台にまつわる映画だが、そこに至るまでの過程を丁寧に、且つ飽く迄俯瞰的に描いた、オリヴィエ・アサイヤス監督作品。
過程の映画なもんだから、モレッツの出番は多くなく、脂が乗り切っていた時期の彼女目当てで観た人はその点でガッカリしたんじゃなかろうか(自分はその点ではガッカリはなかったが)。

事実上、ジュリエット・ビノシュとクリステン・スチュアートの二人芝居の戯曲と言った趣の演技合戦で、全体的に舞台的だが、原題にあるシルス・マリアの雲、雲海「マローヤの蛇」が見られる映画ならではの演出もあり、そこはやっぱり壮観。
そして演技合戦の軍配はスチュアートに挙がった印象も受けた。
若さと、それに伴う価値観の変遷を題材の一つとしている作品だけに、献身的だが鬱憤も溜まっていってそうなヴァレンティンを解像度高く演じている。
セザール賞受賞は納得だ。

それにしても、作中劇の登場人物二人が「実質表裏一体」っていう解釈は、無茶苦茶にも聞こえはするがある意味で説得力があった(そのせいでちょっと頭を使わされたが)。

それはそれとして、この映画はスーパーヒーロー映画をバカにしてはいないけど、ビノシュ演じるマリアは多分スーパーヒーロー映画をバカにしてはいたな。
最後に意識はいくらか変わったかも知れないけど。