アート系美しき変態映画。けっこう好き。
ホラーを期待する人は止めたほうがいい。
超紳士的な素敵な仕立屋さんは裏ではこだわりの人肉食主義の持ち主だったと。
なるほど、猟奇シーンを排したカニバル&ロマンス。主人公のカルロスがいかに異常であるかは微量の言葉と直接的に描かない捌きシーンのみ。
焦点は孤独な殺人鬼がプラトニックな愛と異常な裏面の自己の間で苦悩することに当てられ、ラブストーリー色も強い。
彼がどうしてこういう嗜好になったのかは、少ない台詞と母とのシーンから想像させる。
あんなにハンサムで金もあり紳士なんだから、裏の顔がなければ最高だったかもしれない。
劇中の姉妹のうちのニーナも惚れてしまうの理解できる。
でもカルロスの母はお見通しなんだな。それ以上踏み込まない母子の暗黙のルールが存在したように見えるがどうだろう？
本当の愛に気づいたとき、カルロスはどうするのか。愛するほど食べちゃいたい…とはいかなくなるが……
これもアントニオ・デ・ラ・トレの無言で語る演技が絶品なので見入る。そして出演作の中では一番美しい。
