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天の茶助のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

天の茶助(2015年製作の映画)
4.0
天界―。白い霧が漂い、どこまでも続くような広間。 
そこでは数えきれぬほど多くの脚本家が白装束で巻紙に向かい、下界の人間たちの「シナリオ」を書いていた。 
人間たちは彼らが書くシナリオどおりに人生を生き、それぞれの運命を全うしているのである。茶番頭の茶助は脚本家たちに茶を配りながら、そんなシナリオの中で生きている人間たちの姿を興味深く眺めていた。中でも、口のきけない可憐で清純な女性・新城ユリへの関心には恋心にも似た感情があった。そのユリが車に跳ねられて、死ぬ運命に陥ってしまったことを知る茶助。ユリを救う道はただひとつ、シナリオに影響のない天界の住人・茶助が自ら下界に降り、彼女を事故から回避させるしかなかった。「運命」とは?「生きる」とは?を問うぶっ飛んだ傑作ファンタジー映画。運命が天界にいる脚本家が思い付き半分で、書いている程度のいい加減なもの。そんな運命に逆らうように苦しんでいる人間を救う茶助の奮闘は神に逆らうことだが、同時に自由意思に従う人間の人間讃歌である。茶助が運命を強い意思で変えるクライマックスは、痛快。ホームレスボクサーの過去を持つ伊勢谷雄介などの個性的なキャラクターのアンサンブルの猥雑な魅力も、ユニーク。
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