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痴漢ドワーフのblacknessfallのレビュー・感想・評価

痴漢ドワーフ(1973年製作の映画)
3.8
オープニングからヤバい。
キャンキャンとキュートに鳴く犬🐕‍🦺のおもちゃを散歩させる小人の男、そのおもちゃ🐕‍🦺に興味を示す少女👧 小人は少女を空き家に連れ込み持っていた杖で殴打する。
文字だけだと、よくあるホラーのオープニングのように感じると思うけど、とっても異様なんだよ。まず少女👧がどう見ても大人の女なんだよ。そんな女性が道端でケンケンパして幼児のように遊んでいてるのが不気味だし、おもちゃの犬🐕‍🦺を散歩させてる小人に警戒することなく付いていくのもおかしい。そして「少女」を杖で殴打する小人のゲスく邪悪な表情。全てがシュールな狂気に満ちてて何か見てはいけないものを見てしまったような気分になる。

映画的に凝ってるのはこのオープニングだけで後はひたすら退屈なシーンが続くキツいシロモノ。でも、それだけならカルトとして語り継がれるはずもない。本作がカルトとして一部で熱狂的に支持されてる理由はこの小人の超絶的な存在感にある。

話は単純で小人のオラフは母親とボロアパートを経営してる。それは表向きで裏では美少女を拐いヤク漬けにして売春をさせる恐怖の売春宿だった。何も知らず部屋借りた夫婦のグラマーセクシー妻を売春婦にしようとオラフと母親の魔の手が彼女を襲う!!

ポルノとして作られてるから濡れ場が多い。廃墟寸前のボロ部屋に全裸でヤク漬けにされた女性たちが客に犯されるシーンがゲップ出るほどある。これがなければポルノ目当ての客がガッカリするからわかるのだけど、マジな犯罪現場を見てるような殺伐としたタッチなんであまりポルノとして機能しないような、、。ヤク漬け女性は普通にみんな美人だからやはりポルノのウエイト置いてると思うんだけど、撮り方が粗雑で全裸になってるのに浮かばれない感じなんだよな。

ホラーとしてもポルノとしてもお粗末だからこの小人オラフ役のトルベンがいなかったから観るべき物が1つもないんだよ笑

トルベンは本当にすごいよ。隠し窓から夫婦のベットシーンを覗き見する下卑た表情。拐った女性にヤクを打つ時に浮かべる支配欲を発露したいやな笑顔。主にサディスティックなシーンの時の表情の不気味さがハイレベルなんだよ。小人だという効果もあって猟奇性が激しくなる。
白眉は夫婦の妻にヤクを打ち犯すシーン。杖を局部に挿入して「イーヒヒヒッ」と笑ながらグリングリンやる、その時の弑虐欲と変態性欲に酔ったような醜悪な表情は夢に出てきそうなインパクトがある。
石井輝男監督のエログロ映画に出て欲しかったな。『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』とかどハマリしたと思う。

しかし、メインはポルノなのにどんな気持ちでこんな熱演してたんだろうトルベン。前観た時も思ったけど、今回もそれが気になる。
楽しんでやってるようには見える。障害者として色々、意識的なやつから無意識なやつまで、健常者の差別意識に当てられいやな思いいっぱいしたんじゃないかな?その鬱憤があの虐待シーンのファビラスな演技に繋がったんじゃないかと思えてならない。

最後に付け加えるとトルベン、別に容貌魁偉だけが売りじゃないんだよ。本作にデコレーションスタッフとしても参加してる。ピアノも弾けて、その腕前を披露してる。多才の人なんだよ!トルベンを讃えよ!
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