あなぐらむ

愛獣 悪の華のあなぐらむのレビュー・感想・評価

愛獣 悪の華(1981年製作の映画)
4.2
加藤彰と桂千穂が横浜を舞台に描く「カルメン」。
冴えない喫茶店主の内藤剛志から金で買われ、ヤクザの林ゆたかに開発されて文字通り「愛獣」に開花していく女を泉じゅんが快演。全編ほぼ絡みの中で、女が自発的に快楽へと開き直っていく様を痛快に見せきる。

これは桂千穂が見せる男の夢でもある。どんどん淫らにそして綺麗になっていく女。余計なものが無くなり「女」という存在だけが際立つ様を、加藤彰のどこか抽象的、象徴主義的な映像が彩り、ラストの「血」が見事に決まる。
この頃ピンク映画で活躍していた山地美貴も、対比軸で活きた。
泉じゅんを愛でる一本。無駄は無い。