YOK

ザ・ウォークのYOKのレビュー・感想・評価

ザ・ウォーク(2015年製作の映画)
3.6
2/28で配信終わっちゃうって見たから慌てて再生。今はなきワールドトレードセンターが懐かしくも悲しい。

パリっ子の主人公フィリップが、のちのワールドトレードセンターが建てられるという記事を手に入れたことで「この塔と塔の間を綱で渡りたい…!」と言う夢を持ち、それを叶えるために努力するストーリー。

サーカスの団長であるパパ・ルディからの助言や、シンガーの彼女(アニー)、カメラマン(ジャン・ルイ)などなどの仲間らに支えられながら綱渡りの技術力を伸ばしていく過程は、ただのスポ根では無くコミカルで観やすい作品。

全編通してフィリップが過去を語る形でストーリーが進んでいくので、なんかちょっと寝る前にお話を呼んでもらっているような感覚を覚える作風かも。

如何せんゲリラで綱渡りをするので決行日である1974.8.6までに己が力で情報を集めなくちゃいけないので、いろんな変身をして紛れ込んでは情報を得ていく過程が面白い。今やったら秒で捕まりそうだけど、時代が時代だけに許されている感あるよね。

運良くフィリップのファンが内部にいてくれたりとフィリップの運の良さと努力と度胸がまさに凄まじい。そこまでしてやる事なんか?なんて、決して聞いてはいけない。

それまで結構自分勝手で人に感謝もすることなく生きてきた主人公が綱渡り中に唐突に「全てに感謝」とか言ってパフォーマンス始めるの、究極の状態で生まれる謎感覚ってこういう人しか味わえないんだろうな、って不思議な感覚になった。

冷めた目で見れば「犯罪者じゃねえか…」なんだけど、やりとげた事の凄さや自分らで情報を手に入れ技術力を磨きゲリラで行ったって凄さから評価されるに至った歴史なのかなぁと思った。

主人公がメンバーにキレ倒す度に「おいおい感謝しろよ…」と思っていたけど、まさか綱渡り中に改心するとは思わなかったのでビックリ。

現実にあった話なのが凄いことだよなあと思うばかりで、思ったよりはそんなに劇的なピンチが訪れるわけでもなく、綱渡りも神がかり的に上手いのでピンチもなく、思ったよりは淡々と見れたかなって印象。

もっとドキュメンタリー調な作品かと思っていたら主人公が過去を語るタイプの映画だったので意外性はあったものの、作中で使われるジャズな音楽が格好良さとコミカルな感じを上手く生み出してて観やすかった。
YOK

YOK