このレビューはネタバレを含みます
人間味のある復讐劇でドラマがあり、かつサスペンスものとしても非常にドキドキとさせられた。
復讐をどう遂げるかではなく、どう終わらせるかで苦悩するあたりは、誰かになされた暴力は周囲を巻き込み本人によってもコントロールできなくなるという、もはやゴッド・ファーザーシリーズにも通じるテーマで、暴力を手段してはならない最大の理由の一つ。
そのテーマの着地点として、正解が出されたかは、もう一回くらい観ないと正直わからない。
分かることとしては姉を殺すと言わなければ最後の三人は助かったかもしれない。
主人公に銃を向けなければ、ウェイドの兄もベンに射殺されずに済んだかもしれない。
結局、この映画で自分のために人を殺した人間はウェイドの父だけである。
ウェイドの父本人は、安らかに死んだかもしれないが、その家族を想うと勝ち逃げとはとうてい言えない。
受け取り手のいないサムからの手紙が床に落ちるシーンが非常に虚しいが、ドワイトの行動も非難しきれない。
やはり暴力は帰ってくるという、ありきたりな言葉が結論なのだが、憎しみの心はどこに落ち着けるべきかは分からなかった。