ちろる

フェデリコという不思議な存在のちろるのレビュー・感想・評価

3.8
フェデリコ・フェリーニと実際に長年親交のあったエレット・スコーラ監督が作った、フェリーニ愛溢れる作品。
ドキュメンタリーかと思いきや、前半は脚本家として頭角を現していくフェリーニを描いた再現ドラマとして描き、後半は映画制作の裏話をなど紹介しながら、1939年からフェリーニが亡くなる1993年までのエピソードを実際の映像や彼へのオマージュを込めた歌と踊り、フェリーニ作品の映像などを交えて描いている異色作。

私もフェリーニ映画大好き!ですが、実は全然フェリーニについて知らなかった私はフェリーニが風刺雑誌で漫画を書いてたとは驚きました。
このエレットも、この風刺雑誌の編集部の後輩として入社して、共に親交を深めたそうで、夜、ローマをドライブしながら、他人の打ち明け話を聞くのが好きだったフェリーニの姿など、彼にしか語れない裏話、フェリーニのユニークなキャラクターなんかが敬愛に満ちて描かれる。

もちろん所々フェリーニ本人の映像も、登場し、オーディション風景や葬儀の映像もあるけど、真面目なフェリーニ解説ではなく、目で観て感じるフェリーニの世界。
ある意味、映像の魔術師フェリーニを語る上ではこういう堅物じゃない感じの方が合うのかな?

本作製作は、フェリーニの没後20年にイスティトゥート・ルーチェからフェリーニ関連の映像編集を頼まれたことがきっかけだったらしい。
「自分なら、一種のフェリーニへの手紙、出会った時や一緒に過ごした時間を思い出しながらのメッセージというかたちで考えられる。この作品は実際、映画でもドキュメンタリーでもない、ある友情のポートレートだ」
とエレット・スコーラ監督は語っているように、所々に渡りフェリーニの映画を思い起こさせるシーンを登場させ、フェリーニがフェリーニ作品に入り込んでるようなそんな感覚に陥るような遊び心が魅力的でした。
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