emily

風邪 ふうじゃのemilyのレビュー・感想・評価

風邪 ふうじゃ(2013年製作の映画)
3.0
科学者の紀久生は、すべての風邪ウイルスに効果が期待できる駆特効薬「風邪(ふうじゃ)ワクチン」を開発する。その才能に嫉妬するものや、開発技術を盗もうとする組織が彼を狙ってくる。そこに彼に行為を寄せる謎の女性も、彼に近づく理由があり・・

終始暗めの青っぽい映像で、淡々と表情で察していく感じでストーリーは進む。後半にかけては欲望に取りつかれ善悪を見失う様が静かに描かれ、それにより巻き起こる悲劇もしっかりと残酷に描かれている。そうして前半で謎だった部分が徐々にまとまりを見せ、ストーリーはスリリングに狂気へと化していく。

豪華な俳優陣と異様な空気感を放つ色合いの映像、風邪ウイルスに犯された紀久生のどこまでも続く咳を弱っていく様。
それに比例するように、周りの人々もそれぞれの欲望により翻弄され、どんどん踏み外していく様は見ごたえある。

そうしてその理由ははたから見たら”そんなことで”と思えるような理由であるオチが喜劇であり、そうしてフィクションでありながら、圧倒的なリアリティで弱者のせつなが印象に残る。
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