このレビューはネタバレを含みます
うーんん
情報の出し方があざとくてあまり好きじゃないんだけど、これってたぶん、コーエン兄弟っぽさかなと思うんだけど、
抱擁はなかった、とか、
列車に乗って壁を越える子供達を見て、ベルリンの壁で射殺された若者たちを連想して表情を凍りつかせたりだとか、
スピルバーグっぽさは好みで、
まあでもどうなんだろうな…
愛国心の話。
人命は等しく尊い、という話。
仕事を全うしようとした男たちの話。
すべからく若者たちを救えという話。
非人道的なソ連に比べてアメリカの紳士ぶりを見よ! という描き方が好きじゃない。
でも子供達に国旗に敬礼させたり、アメリカだってこういう国粋主義的な教育はやってる、というのを垣間見せたのは皮肉を感じてよかった。コーエン兄弟ならたぶんもうちょっと露骨に撮った?
ソ連の核兵器の脅威を伝えるために、子供達に原爆の映像を見せたり、こういう描写は初めて見た。そうなのよね、核兵器ってほんととんでもない…
なんだろうなあ…
「不安を感じないのか?」
「役に立つか?」
アランのキャラクターが良すぎたよね、しかし友情の話で終わらない。
トム・ハンクスじゃなきゃ成立してない話だよなあ…アメリカの良心を担う俳優の説得力。
言葉の通じない若者たちに囲まれるの、めちゃくちゃ怖い。怖いんだけど、異邦人は彼のほうで、覚悟があるから冷静沈着に対応できる。
とんでもなく危険な仕事を引き受けるハメになったのだと示される、同時に東ドイツの彼らの窮状も。
ソ連そのものはなかなか姿を表さない。飄々としたアラン。
家族にも言えない仕事で味方がいない…というゾッとするほどの孤独な状況が見ていて辛くて、でも本人は家庭内で冷遇された父親、くらいの態度なのがそれでいいの??って感じだった
最後、テレビで父の功績を知る、そのタイミングなの!?
重々しい題材をエンタメとして観られるように撮ってある、登場人物たちの恐怖や苦悩はほとんど映し出さない、でも、どれほどのものだったろうか…
あの仕事を断っていたら、それはそれで愛国心がないと糾弾されたんだろうな…と思う。
列車の中で新聞を読む。人々の視線が刺さる。コーエン兄弟ならもっと露骨に恐ろしく撮った気がする、個人的にもっと居心地悪くなりたかった。
良くも悪くも普通の感動作になってて、そこがいいなとは思ったけど。
一ドル硬貨を使え、捕まったら自決しろ、と強要されていたのに、生きて捕縛された若者、彼を取り巻く状況のおかしさを、匂わせるだけじゃなく、もっともっと浮き彫りにして欲しかった気もする。
アメリカも共産主義国と変わらないことやってた、日本の特攻隊に近いマインドのことさせてた、戦争なんかクソくらえだ、もっともっと告発して欲しかった気がする。