あんこぱん

海にかかる霧のあんこぱんのネタバレレビュー・内容・結末

海にかかる霧(2014年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

船上は陸とは違う閉塞的な空気が流れている。広い海の上にポツンと浮かぶ船は、陸上とは法律の違う動く孤島みたい。俺らは家族同然!っていうホモソーシャルな船員たちの仲がめちゃくちゃ気持ちが悪い。他と比べてまともそうに見えるドンシクも十分恐ろしい。最初は他意がなかったかもしれないけど、女性なら誰もが体験したことあるあの居心地の悪い特別扱いにゾッとした。とても怖かった。脳を性器に支配されていたチャンウクが一番恐怖だったけど…すごく好きな俳優なのに、あまりにも気持ちが悪すぎて途中から「早く死んでくれ…早く誰かこいつを殺してくれ…」って祈りながら見ていた。チャンウクが「女を抱きたいから」って理由でギョングをあっさり殺したとき、この船の上では死へのハードルが下がりきったんだな、そしてホモソ社会は女ひとりの介入で簡単に崩壊するんだな…と思った。魚倉の大量の死体が、魚くらいの価値に見えたんだろう。ていうかやっぱり死を身近に感じると生存本能が働いてめちゃくちゃヤリたくなるのかな。冒頭の仲の良さそうな船員たちを思い出して辛い。最初の平和さからは想像もできないくらい悲惨な事態になるのに、船員たちがおかしくなる過程を違和感なく見事に描いていた。おもしろかったなぁ。ホンメだけ新たな人生を歩んでいるラスト、モノ扱いだった船上と陸上の差が出ていて印象的。船上でドンシクと愛し合ったのは生存戦略だったのかもしれない。見終わったあと、こんなイヒジュンはもう見たくない…キモすぎてこれが初めて見たイヒジュンだったら嫌いになってた…とモヤモヤムカムカしていたけど、寝て起きたらまた見たくなっている。ホモソ絆を描いた映画、だいたい絆があっさり滅びるから大好き。
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