ドジガヅくん

イニシエーション・ラブのドジガヅくんのレビュー・感想・評価

イニシエーション・ラブ(2015年製作の映画)
3.2
学生の頃読んで衝撃を受けた『イニシエーション・ラブ』。原作は賛否両論激しいですが私は完全にハマりました。ネタばらしサイトみたいのを見れば簡単なのだが、しっかり読み返して謎や巧妙に作られたトリックを自分で解いていくのが面白いです。

そんな傑作とも言える『イニシエーション・ラブ』の映画化。それを知ったときは正直「おお!」となりましたが、すぐ冷静に考えたらアレは映像化不可能ではないか、と。小説だからできるテクニックであって映像化、ビジュアルが出てしまってるとトリックももちろんオチも通用しない。

ということで前日までにもう1度読み返して本日映画を鑑賞。

正直思ってたよりかは健闘してました。
映像化するのであればこれが最大限の映像化ではないでしょうか。
観る人を騙すために追加された設定やセリフはやはり仕方ないし、こうするしかないよなという印象。
ただ原作未読の人でも騙されるかこれ?って思うほどかなり単純化、簡略化されていたので心配です。未読で映画を観た人の感想を知りたいですね。

良かったのは平成生まれの私でもわかるド有名な80年代の懐メロBGMの数々をシーンに合わせて起用しているところ。
あと木村文乃はイメージ通りの石丸さんでした。
個人的には大好きな木村文乃に鈴木くんと言ってもらえただけで星5つ付けたいところなんですが。

オチも当然原作とは違う演出で攻めていたのは関心しました。
ただ原作のラスト2行を読んだときの目を見開くような衝撃や脳内パニック具合は皆無。
こう言ってしまうと元も子もないですが小説特有の文で読んで冷や汗をかいて、どういうことだ⁉︎ってもう1度始めから読み返す!というような衝動は映画からは得られないのです。
せめて映画のラスト、オチの解説がなかったら、2度観に行く人がいたかも知れませんが、宣伝で云々言ってる「あなたは必ず2度観に行く」みたいなのが1番矛盾していることにガッカリです。
オチの解説がなくエンドロールが終わって客席がざわめく感じを期待していただけに残念。
最高のミステリー小説は平凡なコメディ映画になっていました。