烏丸メヰ

ズートピアの烏丸メヰのネタバレレビュー・内容・結末

ズートピア(2016年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

初回は公開時に、今回は二回目。
肉食動物と草食動物が共存し社会を形成した世界を、ディズニー作品らしい可愛らしさと風刺、多様性啓蒙で描くが、決して説教くさすぎずストーリーやテーマ性をナチュラルに受け止める事が出来る。

肉食と草食という食性の違いや、食性は同じでも種族の違いにより生じる根深い偏見という下地に対して、ポジティブに打破しようとする元気いっぱいのウサギと、ネガティブな過去を抱える皮肉屋のキツネの二人の主人公が魅力的。
動物が暮らす市街地の造形も可愛らしく、メルヘンすぎなくてデザインが大好き。
市販のニンジンがしょぼいとか、ああいう描写が“動物を擬人化した社会”をぐっと身近なものに感じさせてくれる。

個人的にナマケモノのシーンがギャグとして一切面白くなかった(これは冗長なギャグをしつこく感じて冷めてしまうユーモアとしての単なる私の好き嫌いの問題)のと、偏見や差別が良くないというテーマ性でありながら
・「狼は遠吠えにつられるバカ」的な主人公サイドからの扱い
・ナマケモノの緩慢さは笑いの対象にする見せ方
に、これらはディズニー的にいいんだ!?的なセンスを感じ、ついていけずノイズに。
偏見で馬鹿にしない・分かり合う多様性を描きたいなら、
狼が遠吠えにつられるバカ→だけどコーラスグループを組んだら合唱が上手くて大人気に!
とか
緩慢で問題を起こすナマケモノをスピーディーな動物が助けるか、スローなお年寄りを助ける仕事に転職して迷惑な笑い者から脱却し個性を活かし役に立てる
とかまで画面端でもいいから描いてこそだろ、とは思ってしまう。
子供でも観れるしいくらでも美談とご都合主義を通せるディズニーファンタジーだからこそ余計に、ナマケモノ(の特性からくるもの)を「ノロマなせいで迷惑かけるしおもしろい奴」一辺倒で消費したのはちょっとな。
昨今のコンプライアンスに慎重な姿勢を全肯定はできないけれど、コンプラコンプラ懸念して結局尺度そんなもんか?とは思わずにいられなかった。


余談だが、私の好きな生き物は基本的に嫌われがち(害獣害鳥という以外にも、単なるイメージで嫌われているものもいる)のだが、そのうちの一つである狼はディズニー的にも「偏見」を取り去れないんだな、といった感想だった。
烏丸メヰ

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