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国際市場で逢いましょうのnt708のネタバレレビュー・内容・結末

国際市場で逢いましょう(2014年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

どんな街にも、どんな家族にも、どんな人にも、それぞれの物語がある。そして、それを伝える力が映画にはある。そんなことを感じさせてくれる素晴らしい作品だった。

自分が舞台や映画の世界に飛び込んだのも、誰かの物語を伝えたいと思ったのがきっかけである。それを体現している映画を観て、心が動かないはずがない。映画は無力かもしれない。それでも、世界を良い方向に前進させる力も持っているかもしれない。そういう映画の可能性、ひいては人間の可能性を感じられるから、私は映画あるいは物語が大好きなのである。

ドクスは辛いながらも自分の人生を確かに歩んできた。ある意味で父親が彼にとっての全てであり、何があっても、父との約束を果たすまでは弱音を吐くことも、死ぬこともできなかった。だから、最後にドクスが父との約束を果たしたとき、父親と別れたとき以来、初めて涙を流したのだ。初めて、息子に戻ったのである。

いつの時代も、どの場所でも、切っても切れないのが家族の絆。国際市場で暮らしを立てる人々も微笑ましい。こういう場所が少しずつなくなって、家族の絆が軽視される時代にだけはならないでほしい。もちろん、家族が全てではないし、その在り方も多様であってしかるべきだとは思うが、やはり家族は家族。その絆に一種の理想を見てしまうのは私だけだろうか。
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