ちろる

コール・ミー・クレイジー 5つの処方箋のちろるのレビュー・感想・評価

3.5
精神疾患をテーマにした5つの物語。
本人の視点から、そして時には家族の視点から、病との付き合い方を見つめて行く。
一言に精神疾患といっても色々なカタチの苦しみがあるのだということを、これで思い知らされる。
辛くても、ひなたの道をまっすぐに歩いていきたいと願う疾患者の気持ちを優しく見つめているような作品だった。

【ルーシー】
見知らぬ声があちこちから聞こえる統合失調症。

すてきな人生のはずだった

私は普通なのに、普通なのに・・・
皆が間違ってると思ってたけれどやはり私は病気だった。
病院で恋をした。絶対に反対される精神病院での恋をして、自分を知って、たどり着いた答え。

また苦しむけど、歩く。
歩くのだ。

【グレイス】

双極性障害の母親の元で暮らし、苦しみ抜いた母と離れたいのに、離れられない。
嫌気がさすのに、離れられない。

母は悪くない。
病気が悪いのだ。


【アリソン】

帰ってこないで、帰ってこないでとずっと思っていた姉のルーシーが、よりによってボーイフレンドを連れてきた日に戻ってきた。

誰も私に気遣ってくれない。
誰も助けてくれない。
かつて大好きだった姉が怖くて、憎かった

皆姉の苦しみに向き合って、私は何で?私の心はどうでもいいの?

精神疾患の家族を持つ人の苦しみに焦点を当てた物語。
アリソンとルーシーは最終的に分かり合えたけれど、もし自分だったらと思うと苦しかった。

【エディ】

妻だけは知ってた。彼の闇を
家では笑顔が消えて、でもショーでは過激な自殺ネタで人を笑わせているエディ。

1人では決して歩けない。
闇を知っているジュリアがいてくれて良かった。

治そうと思う気持ちも愛なのだとしたら、十分すぎるほどに愛を伝え続けなければならないのだろう。

希望のあるラストで救われた。

【マギー】
レイプによるPTSDが愛し合う母と息子を引き裂く。

ママを取り戻して お願い。
幼い我が子の声が空虚に響く。

なによりも大切なこと、
それは精神疾患はその人のせいじゃないって事。

5作中3作出ているルーシーが立派な弁護士の仕事をしているのが救われた。
ルーシーがマギーの担当になって良かった。
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