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小原庄助さんのotomのレビュー・感想・評価

小原庄助さん(1949年製作の映画)
5.0
耳にした事のある『会津磐梯山』の歌詞の中の人の話。「朝寝朝酒朝湯が大好きでそれで身上潰した〜♪」とセルフ没落しつつ、パラメータが徳に振り切ってて人間としては勝ってる劉備玄徳みたいなタイプ。なんだけど、むしろ戦後の農地改革や社会構造の変化によりなるべくしてなるって具合でもある。闇商売や腹黒い事とは無縁で身ぐるみ剥がされて、痩せ衰えたロバとイコールの様な大河内伝次郎、そしてロバの演技が素晴らしい。清水宏作品で頻繁に見る番傘シーンの静かにざわめく胸中を語るのから、ダイナミックに横に移動し、日本の屋内屋外の原風景を鮮やかに切り取る撮影もまた見事。朝風呂で落ちきれなかった垢を落として、晴れやかな『始』END(こんなの初めて)で鼻の奥がツーンとなる。変な役の若かりし清川虹子も雰囲気あってイイ。爆音ノイズはそれはそれとして、キチンとリマスターして後世に伝えていかなきゃいけないレベルの作品。
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